遺言書には、誰にも知らせずに一人でこっそりとつくるというイメージがありますが、自己流でつくって無効になってしまっては、意味がなくなってしまいます。
せっかく遺言書を作るのであれば、きちんと効力のあるものをつくり、相続が発生したときに遺族が困らないようにするべきです。
遺言書は「書面」にすることが絶対条件であり、紙とペンで文章を残すことが必要です。口約束は法的に有効でなく、録音や映像も同様に有効ではありません。
一般的な遺言書の作り方としては、次の方式が定められていますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
1. 自筆証書遺言
2. 公正証書遺言
3. 秘密証書遺言
※当事務所では公正証書遺言をお勧めしています。
遺言する人が、全ての文字を自分自身で手書きして、署名捺印して、保管する方式です。誰にも知られず、費用もかけずに作成することができます。
その反面、様式不備で無効になったり、紛失・変造や遺族が見つけられない可能性がある、家庭裁判所で検認手続※を受けるために実行に時間がかかる、などのデメリットがあります。
※検認について
遺言書が封印されている場合、遺族が勝手に開封してはいけません。家庭裁
判所の検認を受ける前に開封すると、最高5万円の過料に処せられます。
封筒に入っていない場合、遺言書の内容を見るのは自由ですが、検認を受け
るまでは金融機関などの相続手続ができません。
検認には、相続人が裁判所に出向きます。申立から検認までは通常1~2ヶ月
程度の期間が必要です。
遺言者の意思に基づいて公証人が遺言書を作成し、相続が発生するまで原本を公証役場に保管します。
多少手間と時間が必要になりますが、様式不備により無効になる可能性が低く、紛失や変造などの危険性がありません。
*手や眼が不自由な方や、病院に入院中の方なども作成できます。
*家族のことを考えるなら公正証書遺言
公正証書遺言には他の方式と異なり、相続手続が簡単で、実行しやすくなると
いうメリットがあります。
・家庭裁判所の検認を受ける必要がないので、相続が発生した翌日には遺言書
の内容を実行に移すことができます。
特に、遺族が早めに預貯金を引き出す必要があるという場合などには、すぐ
に相続手続ができる公正証書遺言は有利です。
・自筆証書遺言の場合は原本が一つしかないため、相続手続では原本を使いま
わすことになり、 時間がかかります。公正証書遺言は複数のコピーがあるの
で、手続をスピーディに行うことができます。
1と2の中間的な方式で、自分で作成した遺言書を公証役場に持参し、公証人と証人の立会いのもとで遺言書を封印します。
遺言書の本文は、代筆やパソコンで作成することも可能で、内容が誰にも知られないメリットがありますが、一方で手間と費用がかかる割に、様式不備により無効になる可能性や、紛失・変造の危険性などのデメリットがあり、実際にはほとんど利用されていません。